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知っておきたい降圧薬の話④ 「中枢性交感神経抑制薬」・「直接的血管拡張薬」 妊娠高血圧症候群の治療に使われることも

公開日:2018年7月25日
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一発逆転を狙ってバッターボックスに入る「ピンチヒッター」。プロ野球の場合は、よいバッティングセンスをもちながら、守備に若干難があるためにレギュラーから外れた選手がピンチヒッターとなるようです。

降圧薬にも、「中枢性(ちゅうすうせい)交感神経抑制薬」というピンチヒッターのような位置づけのタイプがあります。

脳に働きかける「中枢性交感神経抑制薬」

中枢性交感神経抑制薬、難しそうな名前ですが、人間の体で“中枢”といえば脳と脊髄のことを指します。一方、“交感神経”は、活動しているとき、興奮や緊張したときなどに活発に働いて、「カテコールアミン」という物質をつくります。カテコールアミンは、心拍数を増やしたり、心臓の収縮力を高めたり、動脈を収縮させることなどによって血圧を上げます。

カテコールアミンをつくる交感神経をコントロールしているのが中枢である脳。中枢性交感神経抑制薬は、脳に直接働きかけて交感神経の活動を抑えます。交感神経の活動を抑えることによって、カテコールアミンがつくられないようにして血圧を下げるのです。

妊娠中に起こる高血圧の治療にも

この薬の問題は副作用です。脳に直接働くので、眠くなったり、うつ状態になったりすることがあります。そのため、中枢性交感神経抑制薬は、高血圧の治療にレギュラーとして使われることはまずありません。ほかの降圧薬を何種類か併用しても血圧をコントロールできない場合に、起死回生の一発を期待してピンチヒッターとして使われます。

また、中枢交感神経抑制薬の1つである「メチルドパ」という降圧薬は、昔から使用されている薬剤で、これまで妊娠中に使用して特に問題がなかったので、妊娠20週以降に高血圧を起こす「妊娠高血圧症候群」の治療には、使用が勧められています。

血管を広げて血圧を下げる「直接的血管拡張薬」

末梢(まっしょう)の細動脈に直接作用して血管を拡張させる「直接的血管拡張薬」と呼ばれる薬剤もあります。

直接的血管拡張薬を単独で服用すると、末梢血管が拡張して血圧が下がったことを脳が感知します。すると、交感神経の活動を高めて血圧を戻そうとする反射が起こり、頻脈が起こります。そのため、単独で使用されることはまずありません。直接的血管拡張薬も、いざというときに役立つ薬なのです。