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健康・医療

更年期女性に多い胸の痛みは、「微小血管狭心症」かもしれません

Aさんは56歳の女性。2年ほど前から、胸の痛みに悩んでいました。明け方に締めつけられるような胸の痛みを感じます。

狭心症を疑い、心電図検査や心臓カテーテル検査(冠動脈造影)を受けたものの、冠動脈の異常は見つかりません。狭心症の特効薬である「ニトログリセリン」を服用しても、効果はありませんでした。

いくつかの病院を渡り歩いて、やっと判明した病名は「微小血管狭心症」。これは一体、どういう病気なのでしょうか。

ごくごく細い冠動脈の血流が低下する

一般的な狭心症は、心臓に酸素を送る「冠動脈」という太い血管の動脈硬化が原因です。しかし、Aさんの場合、問題となっていたのはもっと細い血管。直径100マイクロメートル以下の髪の毛ほど細い冠動脈がうまく拡張できず、一時的に血流不足になって胸痛が起こっていたのです。これを微小血管狭心症といいます。

微小血管狭心症の発作は、寝ているときや安静にしているときに起こるケースが多くあります。胸の痛みのほか、動悸(どうき)や呼吸困難感、吐き気、胃や背中の痛みなどを訴えることもあります。持続時間は数分から、長い人では数時間に及ぶこともあります。

更年期前後の女性に圧倒的に多い

一般的な狭心症は中高年男性に多いものですが、微小血管狭心症の約70%は女性だといわれています。30歳代半ばから見られ、最も多いのは40歳代後半から50歳代前半の女性です。女性ホルモンには血管を守る働きがありますが、更年期前後の女性ホルモンの急激な減少や精神的なストレスが、発症に関係しているのではないかと考えられています。

治療では「カルシウム拮抗(きっこう)薬」が効果的です。降圧薬の1つで、血管を拡張して血液の流れをよくする作用があります。

診断が遅れるケースが多い

微小血管狭心症は太い冠動脈の異常が見られないことから、「精神的なものでしょう」などといわれ、心療内科や精神科を紹介されるケースもあります。

狭心症のような発作があり、心電図で心筋(心臓の筋肉)の酸素不足が明らかになっているにもかかわらず、心臓カテーテル検査で太い冠動脈の異常がないという場合は、微小血管狭心症の可能性も考えられます。なお、太い冠動脈が攣縮(れんしゅく)して起こる「冠攣縮性狭心症」と見分けることも重要です。