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健康・医療

高齢者の高血圧は、“ゆっくり”下げていきたい

公開日:2018年2月21日
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「急がば回れ」。多くの人が一度は耳にしたことのあることわざです。その語源は、室町時代の連歌師、宗長が詠んだ連歌の一節。高齢者の高血圧治療もこれと同じで、「急がば回れ」が基本です。

いきなり高血圧になるわけではない

高血圧は、突然なるわけではありません。特に、高血圧の約90%を占める原因不明の高血圧(本態性高血圧)は、数年以上かけて血圧が高くなっていきます。

高齢者の場合は、血圧の高い状態が長年続いており、その状態に体がなじんでいます。一方で、急な血圧の変化に対する適応力は低下しています。

血圧を急に下げると立ちくらみを起こす

そうした状態の人の血圧を治療などで急に下げると、今度は全身に十分な量の血液を送ることができなくなる可能性があります。

脳で血液が不足すると、立ちくらみやめまいを起こします。高齢者の立ちくらみやめまいは、転倒や骨折の原因になり、寝たきり状態につながることがあります。一方、心臓の筋肉の血液が不足すると、胸が締めつけられるように強く痛む「狭心症」が起こります。

このような事態に陥るのを避けるために、高齢者の高血圧を治療する場合は、血圧を少しずつゆっくり下げていきます。

降圧薬は、少量からスタート

高齢者の場合、降圧薬の量が、通常使われる量の約半分からスタートすることもよくあります。立ちくらみやめまい、狭心症などに注意しながら、4週間から3か月の間隔で、降圧薬の量を徐々に増やしていきます。したがって、高齢者の場合は、降圧薬をのんでいてすぐに血圧が下がらなくても心配することはありません。

ただし、高齢者ほど、高い血圧に対する心血管疾患(心筋梗塞や脳梗塞など)のリスクも高く、血圧を管理するメリットも大きいことがわかっています。通常、数か月を目安に降圧目標まで血圧を下げるようにします。

高齢者は血圧をゆっくり下げていきますが、若い人の場合はこの限りではありません。若い人の高血圧治療は、「急がば回れ」ではなくて「兵は拙速(せっそく)を尊ぶ」です。特に、心血管疾患を起こすリスクが高いような場合は、速やかに血圧を下げることが必要です。