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知っておきたい降圧薬の話 「β遮断薬」 現在はエースの座を明け渡した元エース

チーム最高の先発投手の呼び名は「エース」。プロ野球界には、かつては華々しい活躍をしたのに、今はその座を明け渡し出番の減った元エースが何人もいます。降圧薬にも元エースに相当するタイプがあります。

その名は「β(ベータ)遮断薬」。β遮断薬は、もともと狭心症の治療薬でしたが、その後血圧を下げる効果が確認され、降圧薬としても使われるようになりました。降圧薬として使われるようになってからも約40年の歴史があります。

β遮断薬は、どうやって血圧を下げる?

心臓や細動脈には、「β受容体」と呼ばれる“鍵穴”のようなものがあります。交感神経が優位になると、末梢(まっしょう)の交感神経や副腎から分泌される「カテコールアミン」という物質が、その鍵穴と結合することで心拍数が増え血圧が上がります。

β遮断薬は、カテコールアミンの先手を打って「β受容体」に結合して鍵穴を塞いでしまいます。すると、心拍数が減って心臓の収縮力が抑えられて、心臓から出ていく血液の量が少し減少し、動脈の壁を押す血液の力が弱まるので血圧が下がります。

どんな場合に適している?

β遮断薬は、高血圧の主要降圧薬の1つです。しかし、最近は「カルシウム拮抗薬(きっこうやく)」や「アンジオテンシンⅡ受容体(ツーじゅようたい)拮抗薬(ARB)」などに押され、高血圧治療のエースの座を明け渡しています。

β遮断薬は、血糖やコレステロールなどの脂質の代謝に悪影響を及ぼすことから、糖尿病や糖尿病予備群の人、高齢者などの高血圧では、第一選択薬とはなりません。

心疾患などの治療で活躍中

高血圧以外の領域では、β遮断薬はまだまだ大活躍中です。心臓自体の酸素の消費量を減らす作用があるため、冠動脈が狭くなって十分な血液を心臓自体に供給できなくなる「労作性狭心症」の治療に必要です。

また、心臓の負担を減らすので、心不全の治療になくてはならない薬です。心筋梗塞後の再発予防にも重要な薬ですし、最も太い血管である大動脈の壁に亀裂が入って縦に裂ける「解離性大動脈瘤(かいりせいだいどうみゃくりゅう)」の治療にも欠かせない薬です。

心拍数を減らすので、1分間の脈拍数が100回以上になる「頻脈性不整脈」の治療にも使われます。反対に、脈拍数が異常に遅くなる「徐脈性不整脈」には適しません。

ぜんそくがある場合、β遮断薬は使用できない

その一方で、気管支のβ受容体が塞がれると、ぜんそくの発作を起こすので、「気管支ぜんそく」の人にはβ遮断薬は使用しません。

また、下肢に血液を送る動脈が細くなる「閉塞性動脈硬化症」がある場合、β遮断薬ではなく、別の降圧薬を使うことが多くなります。閉塞性動脈硬化症の患者さんは、狭心症などの心臓病を併せもつことがあるので、β遮断薬が必要な場合は、慎重に使用することになります。

※この記事は、執筆時点での情報に基づき作成しております(執筆年月日:2018年2月21日)。