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突然、動悸が始まり突然治る 発作性上室性頻拍ってどんな病気?

公開日:2018年6月6日
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テニス好きの36歳男性Aさん。仲間とテニスを楽しんでいたある日、ベンチで休憩中に突然、激しい動悸(どうき)に襲われました。心臓が口から飛び出してしまうような激しい胸の高鳴りに、気を失ってしまいます。そのままベンチから転げ落ちてケガをし、救急搬送されました。搬送された医療機関での心電図検査では、異常は見つかりませんでしたが、友人の勧めで専門医を受診したところ、不整脈の一種である「発作性上室性頻拍」と診断されました。

拍動が1分間200回にもなる

発作性上室性頻拍の「発作性」は、突然始まって突然終わるという意味。いつ始まっていつ終わったのか、はっきりわかるのが特徴です。心臓の上部(心房と房室結節[ぼうしつけっせつ])に異常があり、非常に速い拍動が起こります。通常の拍動は1分間に60~100回ほどですが、発作性上室性頻拍では200回を超えることもあり、動悸、めまい、失神などが現れます。

Aさんの話によると、ここ数年、激しい動悸が急に始まって、しばらくしていると突然治まるということが何度かあったそうです。失神するほどではなかったものの、意識が遠のくような感じだったとか。問診でほぼ診断がつきますが、治療法を決めるためには、発作時の心電図をとる必要があります。発作が治まってからでは、多くの場合、Aさんのように心電図に異常が出ません。そこで、携帯型の心電計を携行してもらって発作が起こったときの心電図を自分で記録してもらいます。

発作性上室性頻拍は、健康診断の心電図検査などで「WPW(ウオルフ・パーキンソン・ホワイト)症候群」と診断された人に起きることがあります。WPW症候群では心電図にデルタ波という特徴的所見が出るため、こうした人に発作が起きれば、発作性上室性頻拍の可能性が高いといえます。ただし、WPW症候群の心電図所見をもっていても、発作を起こさないで一生を終える人が大部分ですので、健康診断で指摘されても過度に神経質になることはありません。

カテーテル治療でほぼ100%根治できる

発作性上室性頻拍のほとんどは、命に関わることはありませんが、まれに死に至る危険性の高い心室細動につながることがあります。

発作を止めるには、副交感神経を刺激するのが効果的。「息をこらえる」「のどに指を差し込んで嘔吐反射を利用する」「冷たい水を飲む」「冷たい水に顔をつける(潜水反射による副交感神経刺激)」などの方法があります。どれが最も有効かは医師の指示に従ってください。特効薬があるため、発作が起きたときに頓服で使用すると数十分で止めることができます。病院を受診した場合には、静脈内注射ですぐに止められます。

最も確実な治療法は、カテーテル治療(カテーテルアブレーション)です。心臓は、電気刺激が順序よく心臓内を伝わることで、規則正しく拍動していていますが、電気刺激の正常な伝導路以外に余分な伝導路があると頻拍が起こります。また、前述のWPW症候群は、先天的に「ケント束」という異常な伝導路が心房と心室を結んでおり、そこを通って電気刺激が旋回するので頻拍症が起きます。そこで、この余分な伝導路を高周波で焼き切るのがカテーテルアブレーションです。この治療により、ほぼ100%発作が起こらなくなります。